体感変化量と暑さ寒さ予想
「暑さ、寒さ」予報はあるの?(トップ)
基礎編 −人体の蓄熱量と体感変化量(蓄熱量変化)−
実践編 −予想蓄熱量と体感変化量を参考にして、おでかけの準備をしてみましょう−
応用編 −自分専用の体感データベースを作ってみよう−
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 基礎編 −人体の蓄熱量と体感変化量(蓄熱量変化)−
さてここからが本題です。ナビ子さんがおっしゃるとおり、従来の情報では本当に知りたいことはわかりません。そこで考え出されたものが、「人体の蓄熱量とその変化量」を使って体感を知る方法です。 ※理科が苦手という方はポイント(赤字)だけでも読んで下さいね♪
「暑さ、寒さ」の感覚と人体の蓄熱量の関係
 人間が感じる「暑さ、寒さ」の感覚は、人体の生理的作用(体温調節機能)に基づいています。人間は活動することで多くの熱を生産し、溜まった熱(蓄熱)は汗などで体外に放出しています。また周囲環境から熱をもらっ
たり、熱を奪われたりもしています。人体の蓄熱量が多いときには体外に放出し、蓄熱量が少ないときには放出を少なくすることで人間は体温を一定に保っています。ですから、周囲から受ける熱量が多く人体の蓄熱量が増えれば「暑い」と感じますし、逆に奪われる熱量が多くなると人体の蓄熱量が減って「寒い」と感じるわけです。
 右の図をご覧下さい。縦軸に蓄熱量、横軸に時間を表したグラフがあります。蓄熱量は、人の活動状態と着衣、気温・風速・湿度・日射などの気象要素から総合的に求められる数値で、蓄熱量をSとすると、一般的に「S=0」なら快適「S>0」は暑い「S<0」は寒いと人は感じます。ただし、実際の快適感はS=0の時だけではなくある程度の幅があります(快適域)。
 さて先ほどナビ子さんに質問した@「明日の大阪」とA「今日の東京」の蓄熱量を任意の値で計算し、グラフにプロットしてみました(実際の蓄熱量は、気象台が発表する実況値や天気予報の予想気象値から計算します)。これを見ると、今日の東京の蓄熱量は「暑い」の領域、明日の大阪の蓄熱量は「快適」の領域にあることがわかります。
図1

あっ!わかった!! 人体の蓄熱量でみれば、@「明日の大阪は快適」、A「今日の東京は暑い」ということでしょ♪

えーっと、まだ結論までいってないんですが。それにどうして水着姿なんですか? まさか東京が暑いからというだけで思いついたとか・・・。

   ナビ子イメージ
 さて、話を元に戻します。先ほど体感には『個人差』があることをお話しましたが、人体の蓄熱量で求めた体感についても同じことがいえます。ですから、「明日の大阪は快適」という計算結果がすべての人に当てはまることにはならないのです。このことは「今日の東京は暑い」という計算結果についてもいえることです。さらに、仮に「暑い」と感じるとしても、『どの程度』暑いのかという情報はわかりません。
 また、一般的に快適に感じる気温は、夏場では26℃前後、冬場では18℃前後といわれ、季節によって大きな差があります。同じ20℃という気温でも、4月は暖かく感じますが10月は涼しく感じます。これらは体感の『季節差』として理解されていて、人間の気候に対する順応が大きく影響しています。しかし人体の蓄熱量には季節差は考慮されていませんので、一口に「快適」といっても、それだけでは適切な服装を決定することはできないのです。
 個人差・季節差や体感の程度の問題についてはこのあと説明するとして、まずここでは次のポイントを押さえておきましょう。
人体の蓄熱量は「人の活動状態と着衣、気温・風速・湿度・日射などの気象要素から総合的に求められる数値」です。気温、不快指数、体感温度などと比べると、蓄熱量のほうがより正確に体感を表すことができる単位だといえますが、個人差・季節差や体感の程度(強さ)についての情報は含まれていません。
自分の体感+蓄熱量の変化で個人差・季節差は解決できる
 では一体どうすれば、個人差・季節差も含めた体感を求めることができるのでしょうか。その時の気象条件によって求められた蓄熱量は、その気象条件下にいるすべての人の共通の値になります。問題は、その蓄熱量に対する体感が個人によって異なるということですので、予想蓄熱量から各個人の体感を求めることはできません。しかし、ある日時・場所での蓄熱量に対してその人自身が感じた体感がわかれば、その値を基準にして今後の体感を予想することは可能です。以下では、ある日時・場所での蓄熱量と、その時実際に感じた体感を各個人について記録し、それらを基準として個々の体感を予想する方法を考えます。

 A「今日の東京」について考えてみましょう。ナビ子さんは大阪に住んでいますので、基準となる蓄熱量は今日の大阪で求めた値とします。ここでは東京の今後の予想蓄熱量が大阪での蓄熱量よりも小さいと想定します。大阪よりも東京の蓄熱量が小さいというのは何を意味しているのでしょう。「暑さ、寒さ」の感覚と人体の蓄熱量との関係では、蓄熱量が増えれば「暑い」、蓄熱量が減れば「寒い」と感じました。
 右の図でナビ子さんが東京に行った場合、蓄熱量は y だけ減少します。蓄熱量としては東京も暑いのには変わりないのですが、蓄熱量の減少により体感としては涼しく(寒く)感じるはずです。蒸し暑いときに風が吹いて涼しく感じるのと同じように、蓄熱量の変化によっても体感は変化していきます。そして変化が大きいほど体感として強く感じます。
 このように蓄熱量だけでは表せなかった情報も、蓄熱量の変化量を使えば表すことができます。この変化量は「体感変化量」といって、比較する対象間の蓄熱量の変化量(差分)で表します。「y>0」なら暖かい(暑い)、「y<0」なら涼しい(寒い)と感じ、その程度は y の大きさに比例します。
 さてここでもう一つ重要なのは、大阪での蓄熱量に対して自分が感じた体感です。仮にAさんは「暑い」、Bさんは「暑くも寒くもない(快適)」と感じていたとします。この二人が東京に行った場合、蓄熱量は同じ y だけ減少しますので、大阪にいるときに比べると体感としては涼しく(寒く)感じます。しかし、大阪での体感に違いがあるため、大阪で「暑い」と感じていたAさんには涼しくても、「暑くも寒くもない」と感じていたBさんには寒く感じる可能性があることがわかります。これは、大阪での体感の違い(個人差)が東京での体感予想にも反映された結果です。
 このように基準となる蓄熱量その体感、それに体感変化量の3つがわかれば、個人差や季節差も含めた体感を予想することができるわけです。
図2

つまり、体感変化量を使えば 東京は大阪より y だけ「涼しい」と感じる人もいれば、「寒い」 と感じる人もいる。そうでしょ♪
蓄熱量だけ見ると東京は「暑い」だったのにね!体感の違い(個人差)が予想に反映されるとこうなるのか・・・なるほどねぇ。


そのとおり!なかなか呑み込みが早いですねぇ。それに着替えるのも・・・。やっぱり東京に行くには、水着よりもそのほうがいいと思いますよ。

   ナビ子イメージ
さて、みなさんお分かりいただけたでしょうか?ここでのポイントは次のとおりです。
体感変化量(蓄熱量の変化)によって体感も変化し、変化が大きいほど体感として強く感じます。基準となる蓄熱量とその体感、そして体感変化量の3つがわかれば、個人差や季節差も含めた体感を予想することが可能です。


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